1983年に放送された橋田壽賀子原作、NHK 朝の連続テレビ小説「おしん」。約100年前に山形県の寒村に生まれ、明治、大正、昭和という激動の時代を、数々の試練にめげずに生きたおしんの一代記は、平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%という驚異的な視聴率で社会現象にもなった。不朽の名作は海を渡って世界86の国と地域で放送され、多くの人々に感動を与え続けている。

放送開始から30年となる節目の今年、「おしん」の物語が新たな装いでスクリーンに登場する。本作では、奉公先で苦労しながらも、ひたむきに生きる少女時代に焦点を絞り、おしんの成長する姿から、逆境を生き抜く力、親子の絆、戦争と平和といった、あらゆる世代の心に響くテーマが描かれる。

主人公のおしんには、約2500名の応募者の中から選ばれた、宮崎県出身の少女、濱田ここね。半年間かけたオーディションでは、演技の可能性、芯の強さ、愛らしい笑顔が決め手となった。

おしん DVDが本格的なデビュー作となる濱田は、撮影期間中、親元を離れるという、おしん並みの辛抱をして芝居に励み、平成のおしんを見事に演じ切った。

おしんの母・ふじには、人気、実力ともに最前線を走る国民的女優の上戸彩。上戸自ら熱望した大役に、極寒の最上川での入水シーンへの挑戦など、女優魂を発揮して挑んだ。貧しさも哀しみも笑顔で乗り越えて、おおらかな愛情でおしんを包み込む母親をしなやかに演じ、新しい魅力を見せている。父・作造には、SMAPの稲垣吾郎が熱演。従来のクールなイメージから一転した、無骨な役どころを積極的に楽しみ、役に没頭したという稲垣。家族が生きるために、一家の大黒柱として、おしんにきつく当たる厳しい横顔と、愛する家族につらい思いを強いねばならぬ父親の苦悩を、たしかな演技力で繊細に表現する。

おしんの奉公先となる加賀屋の大奥様・くにには、大ベテラン女優の泉ピン子。朝ドラでふじを演じ、女優として高い評価を得た泉が、本作ではおしんの人生に灯をともす大役を務める。また、オーディションで濱田の才能を見抜き、上戸には経験者ならではの細やかなアドバイスをするなど、役を離れたシーンでも親身なサポートで現場をもり立て、新生『おしん』の誕生を見守った。


監督は、故・相米慎二の助監督を経て、『非・バランス』(01)で長編デビュー後、『あの空をおぼえてる』(08)ではフランスKINOTAYO映画祭グランプリを受賞した、山形県出身の冨樫森。俳優に寄り添いながら、その魅力を最大限に引き出す演出に定評のある冨樫が、濱田の才能を見事に花開かせた。

撮影は、2013年2月15日の厳冬期から春の足音が近づく3月31日まで、明治時代の風景を求めて、山形県内を移動する過酷なロケを敢行。日本の原風景が残る山形の厳しくも雄大な自然の中、さまざまな困難に耐え、未来を見つめて生きる姿勢を貫いた、力強いおしんの姿を、大スクリーンでご覧いただきたい。